霧の旗 59歳の感想
松本清張はすごい!と一時期次々と読んでいた時期があった。
ドラマも映画も見ていた。
なんて面白い、本当に松本清張先生ってどんな頭をしているのだろうか!と。
あらすじは知っていたが、倍賞千恵子の「霧の旗」を見た。
私は百恵ちゃんの映画も見たし、ドラマでも何回かこの「霧の旗」は見たことがある。
当時は、本当に復讐されて当たり前だわ、
霧子、いいぞー!なんて思っていた気がする。
ところが、、、
もう誰かに期待するとか、国などには何も期待しないという心持ちの私は、
この主人公の霧子に対する気持ちが些か変化していたことに気がついた。
実兄が無実だから助けて、と著名な弁護士に依頼するため上京する。
先生なら絶対に兄を助けられると信じて。
もちろん霧子はすぐさま断られる。
当たり前だ、金もツテもないんだから。
結局そのまま兄は獄死し、霧子は弁護士に復讐を誓う。
でも、、、
これって、逆恨みじゃね?
しかも、この弁護士は依頼を断ったあと、
気になって事件を密かに調べているのだ。
まぁ兄は無実だし、復讐も面白いように上手くいくのだが、
そもそも憎むべきは弁護士より真犯人であるべきではなかろうか?
事件にしても、教師の兄が修学旅行の積み立て金を落とし、金を借りたことが発端である。
しかも悪徳高利貸しに借りて返せないのだから。
その高利貸しが殺されて容疑がかけられるのも仕方ないといえば仕方ない。だって慌てて逃げるんだもの、しかも自分の借用書はちゃっかり持って。
積み立て金を落とすドジ、変な高利貸しに借りたのもドジ、返せないのもドジ、遺体を見つけて逃げたのもつくづくドジな兄である。
弁護士が引き受けてくれたら助かったはず、というのも短絡的すぎる。
確かに兄は気の毒だとは思うけれど、復讐で気が晴れたのか?霧子よ。
弁護士にも同情するが、霧子の誘惑に乗るあたり、これもドジドジ。アホな弁護士である。
こんな風に考えるようになった私は、歳をとるのも悪くないと思う。
色々な見方が出来るんだもの。
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